クジ引き
冷えてはいないけれど、とても甘くて水分も多くておいしいスイカだ。


こうして並んでスイカを食べているだけでも、あたしの心臓はドキドキしている事がわかった。


「ねぇ朝日」


「なに?」


「昨日学校のクラスメートにばったり会っちゃったでしょ?」


「あぁ、そうだね」


「それを今日学校でみんなにばらされちゃって……」


「え?」


朝日がスイカを食べる手を止めてあたしを見る。


不安そうな表情だ。


「だからね、好きな人って事にしておいたんだけど……いいかな?」


そう聞くと、朝日はポッと頬を染めた。


「い、いいよ」


そう返事をして、ぎこちなくあたしから視線をそらせる。


妙に意識してしまって、テレビの音が大きく聞こえ始める。


「それでさ、友達が朝日を写真でいいから見て見たいって言ってるの」


「写真……?」


朝日は少し表情を曇らせた。


自分の存在を他の人たちに知られて大丈夫なのか、不安なんだろう。
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