クジ引き
ずっしりと重たい感触に、ゾクリと背筋は寒くなる。


ノコギリが蛍光灯でキラキラと輝いているのが、眩しいほどだ。


「なに、言ってるの……?」


「きっと、それが一番いい選択なんだ」


「一番いいって……そんなわけないじゃん!!」


あたしはそう言い、ノコギリを投げ出した。


床にぶつかり、大きな音を立てている。


「彩花……」


「なんでそんな事いうの!? 2人で助かろうよ!!」


あたしはそう言い、朝日の体に抱き着いた。


目の前が涙で歪み、朝日の顔もまともに見えなくなる。


「でも、タイムリミットは近づいてる」


「まだだよ! まだ一か月近くあるじゃん!!」


「彩花、よく聞いて? 人間の男1人をバラバラにして袋に詰めて送り返す。それはとても時間がかかることだ」


朝日がゆっくりと、まるで子供に話しかけるようにそう言う。


「すぐにはじめなきゃ、間に合わなくなるかもしれない」


わかってる。


わかってるよそんなこと!!
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