クジ引き
「この人だよ」


そう言いながら昨日一緒に撮った写真を菜々花へ見せる。


菜々花はスマホに食いつくように写真を見つめて、「カッコいいね!!」と、頬を赤らめて言った。


朝日のことを褒められるのは気分がいい。


「そうでしょ?」


「うん。こんなにくっついて写真とるなんて、ラブラブなんだね」


菜々花の言葉にあたしはドキッとしてしまう。


勢いとはいえ、昨日朝日に告白してしまった事を思い出したのだ。


「でもさぁ、この人どっかで見たことがあるんだよね」


菜々花が何か思い出すように眉をよせてそう言った。


「え、本当?」


あたしはすぐにそう聞き返していた。


「うん。どこで見たっけなぁ……」


菜々花が朝日の事を知っているとすれば、いろんなことを知る事ができる!


大きなチャンスにあたしは目を輝かせた。


菜々花はしばらく考えていたが、やがて諦めたように大きく息を吐き出した。


「だめだ思い出せない」


「嘘でしょ? 思い出してよ!」


そう言って菜々花の肩をつかむ。
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