クジ引き
☆☆☆

家に帰ると朝日が玄関まで出迎えてきてくれた。


「おかえり彩花」


「た、ただいま」


どうしてもぎこちない返事になってしまい、視線を合わせる事ができないあたし。


「着替えてくるね」


そう言うと、すぐに自室へと向かった。


自分の部屋に鍵をかけてようやくホッと胸をなで下ろす。


これじゃまるで朝日が殺人犯だと決めつけているような態度だ。


自分の態度に情けなさを感じる。


朝日の口から直接真実を聞く事ができれば安心できるけれど、記憶のない朝日にはそれもできない。


あたしは肩を落として部屋着へと着替えた。


なにもする気がおきなくて、そのままベッドに横になる。


殺してもいい人間が景品として送られてくる。


その推測が正しいように思えて来る。


その度合いは人にとって上下するかもしれないが、あたしは自殺を考えたことがある人間だった。


小学校の頃ひどいイジメにあい、精神的に真っ暗な世界に突き落とされていた。
< 73 / 139 >

この作品をシェア

pagetop