クジ引き
呼び出し
告白した相手から別の子をおすすめされるのは一体どんな気持ちなんだろうか?


考えて、あたしは大きくため息を吐き出した。


文哉があたしの事を好きだなんて思ったこともなかったから、つい言ってしまった一言。


菜々花が前から文哉を見ている事をしていたから、2人がくっつけばいいなと思ってしまった。


だけどそれは、文哉からすれば残酷な事だった。


「彩花、大丈夫?」


リビングのソファで落ち込んでいるあたしに、朝日が冷たい紅茶を出してくれた。


「ありがとう、朝日……」


「いいのか? クラスメートの気持ちを受け取らなくて」


「あたしは朝日が好きなんだもん!」


そう言うと、朝日は少し困ったように眉を下げて、あたしの頭を撫でた。


「その気持ちは嬉しいけれど……」


朝日はそこまで言って口を閉じた。


朝日が言いたいことは、あたしが一番よくわかっている。


あたしたちの関係は絶対に幸せにはなれない。
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