クジ引き
☆☆☆
例えば、朝日に似た人を探して。
その人の顔がわからなくなるまで切り刻んで送り返したとしたら?
あたしは下駄箱の中からノコギリを準備した。
ノコギリの先端には朝日の血が少しだけこびりついている。
外はもう真っ暗で、朝日はあたしのベッドで眠っていた。
眠る前に睡眠薬入りのコーヒーを飲ませておいたから、きっと朝まで起きないだろう。
あたしはノコギリと袋を脱衣所のバスタオルの間に隠した。
ポケットに入れていたスマホが震える。
画面を確認すると、昨日の夜連絡先を交換したケンイチからの電話だ。
「もしもし?」
『もしもし彩花ちゃん? 言われた通りコンビニまで来たけど?』
「そこから横断歩道を渡って真っ直ぐ歩くと白い花の咲いている家が見えるの。そこがあたしの家」
『わかったすぐ行く』
ケンイチは相変わらずくすぐったい声でそう言うと、電話を切った。
あたしはスマホをポケットへ戻しかけて、ふと気がつき、ケンイチとの通話記録を消去した。
スマホはリビングのテーブルへ置いておき、赤い口紅を引き直す。
それから数分後、玄関をノックする音が聞こえて来た。
近所迷惑になるからチャイムは鳴らさないように言っておいたのだ。
例えば、朝日に似た人を探して。
その人の顔がわからなくなるまで切り刻んで送り返したとしたら?
あたしは下駄箱の中からノコギリを準備した。
ノコギリの先端には朝日の血が少しだけこびりついている。
外はもう真っ暗で、朝日はあたしのベッドで眠っていた。
眠る前に睡眠薬入りのコーヒーを飲ませておいたから、きっと朝まで起きないだろう。
あたしはノコギリと袋を脱衣所のバスタオルの間に隠した。
ポケットに入れていたスマホが震える。
画面を確認すると、昨日の夜連絡先を交換したケンイチからの電話だ。
「もしもし?」
『もしもし彩花ちゃん? 言われた通りコンビニまで来たけど?』
「そこから横断歩道を渡って真っ直ぐ歩くと白い花の咲いている家が見えるの。そこがあたしの家」
『わかったすぐ行く』
ケンイチは相変わらずくすぐったい声でそう言うと、電話を切った。
あたしはスマホをポケットへ戻しかけて、ふと気がつき、ケンイチとの通話記録を消去した。
スマホはリビングのテーブルへ置いておき、赤い口紅を引き直す。
それから数分後、玄関をノックする音が聞こえて来た。
近所迷惑になるからチャイムは鳴らさないように言っておいたのだ。