しょうがねーな、まったく。
「あのね、翼。ママ、ご飯炊くの忘れちゃったの。ごめんね。」

「え~!!」

「今から炊くから、その間に先にお風呂入っちゃおうか。」

「僕、お腹空いた。」

「そうだよね、ホントにごめん。」

「でも、いいよ。ご飯と一緒に食べた方が、お肉が美味しいから。」

「そう? ありがとう~!」

「うん。」


あぁ、なんて物わかりの良い子なの。

ダメな母を責めたりせず、ニコニコしている我が子が天使にしか見えないわ。

子供は親を選べないって言うけど、神様はきっと不器用な私のために、翼を選んで与えてくれたに違いない。


翼は五歳の男の子にしては落ち着いてる方だ。

思い通りにならないことがあっても、すぐに泣いたり騒いだりしないし、待っててねってお願いすれば、いつの間にかどこかに消えたりせず、おとなしく待っていてくれる。

なので、冷静に物事を考えられる、頭の良い子なのではないかと思っている。

いわゆる親バカってやつかもしれないけど。


あ、でも、ちょっと待って..........

こうやってダメ母が甘えてばかりいるから、この子は余計な心配をかけないように気を使ってるのかな?

もしかして、あいつの言ってることってそういうこと?
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