しょうがねーな、まったく。
待って、待って、待って。

今日は会わずに済んだと思ったのに、嘘でしょう?

なんでこのタイミング、この場所で、金髪ヤンキーに会っちゃうかな..........


振り向くのをためらう私を前に、息子は満面の笑みを浮かべている。

と言うことは、恐らくあいつに間違いないだろう。

って、そんなに嬉しそうに全力で手を振っちゃったら、知らんぷりして逃げることも出来ないじゃん!!


「のぞみちゃんのパパ~!!」

「おっ、翼?」

「うんっ。」

「今、帰りか。」


緩やかな坂道を登りながら、良く通るハスキーな声が近付いて来る。

と同時に、変なドキドキで心拍数が上がって行くのがわかる。

もう仕方ない。

さあ、覚語しろ、私!!


「こ、こんばんは。」

「こんばんは。今日もギリギリ?」

「そうだけど、悪い?」

「怒ってんの?」

「怒ってないわよ。」

「マジ?」

「ええ。」

「ふ~ん、ま、いっか。」


あぁ、こいつ、やっぱり苦手。

何か上手く話せないっていうか、どう対応したらいいのかわからないっていうか。

我ながら大人気ないとは思うけど、どうしても調子が狂う。


「明日は遠足だね。晴れるといいな。」

「うん。楽しみ。」

「へっ!?」
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