しょうがねーな、まったく。
ドキドキしながらそ~っと歩いて行くと、あいつの肩に乗った翼の笑顔が見えた。

でも、何となくいつもと印象が違う?

どうしてなのかはわからないけど、イキイキしてるっていうか、本当に楽しそうっていうか。

あいつと遊んでる時はこんな顔してるんだと思うと、何か悔しい。


「あ、つばさくんのママ~!」

「こんばんは。」

「ママ、見て見て。柿だよ、柿。」

「ホントだ。すごいね、翼。」

「うん。のぞみちゃんのパパに肩車してもらったの。」

「いつもすいません。翼と遊んでいただいて。」

「全然いいよ。俺も楽しいし。」


ん?あれ? 金髪頭が短髪になってる。

サイドをすっきり刈り上げちゃって、顔立ちがハッキリ見えるようになったせいかな?

キリっとして、だいぶ雰囲気が変わった。

この人、意外とイケメンなんだ。


「ママ、肩車、楽しいよ。高いの面白い。」

「良かったね。肩車なんて、初めてだもんね。」

「え、マジ? 初めて?」

「うん。」

「周りにずっと男の人がいなかったから、体を使う遊びみたいなことってあんまりしたことなくて。」

「そうか。じゃ、これからも俺と遊ぶか。」

「うん、遊ぶ!!」
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