しょうがねーな、まったく。
「美味しいね。」

「でしょ。僕もウインナー、一緒に切ったの。」

「そうなの? すごいね。」

「今度、ママがお料理する時もお手伝いする。」

「ホント?それは嬉しいな。」


よっぽど楽しかったんだろうな。

目がキラキラしてるもん。

でも、こういうのって、普通、女親がすることだよね。

ちょっと恥ずかしい。


「にしても、何にも材料無くてビックリした。調理器具も少ないけど、あんまり料理しないの?」

「えっ? あぁ、うん。そんなにしないって言うか、好きじゃないって言うか.....。」


キタ、キタ、キタ~!!

やっぱりバレてる。 絶対、言われる。

そりゃ、そうだよね。

玉ねぎがあったのが、奇跡じゃないかと思うくらいだもん。


「翼がオムライスって言ってくれたからゴマかせたけど、この在庫で他に何が出来たかって言ったら、ほとんど思いつかないわ。」

「すいません.....。」

「別にいいんだけどさ、翼のこと考えたら、もうちょっと頑張った方がいいんじゃん。栄養面とか好き嫌いとか、いろんなことに影響してくるし、作った方が経済的にも気持ち的にも負担が軽くなる。」

「それはそう思うけど.....。」

「やる気になれば、案外出来るもんだよ。俺もそうだったし。」

「そうなの?」

「そうだよ。奥さん、出て行っちゃうまで、家事なんて何もしたことなかったから。」
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