しょうがねーな、まったく。
 ドキドキしながら近付いて行くと、暗闇の中でクルンと回る子供の姿がうっすら見えて来た。

 え、待って。あれが翼?
ちょっとぉ!すごいじゃない!嘘みたい。
私の知らないところでこんなに頑張ってたんだ。

 大きくなったなぁ。感動して、ウルウルして来ちゃう。これは本当に希ちゃんのパパとやらに感謝しないと。

 ところで、そのパパは何処なのかな。

 あ、いた。あれがそう?って、いたにはいたけど、まさか..........


 茶髪? 金髪?作業着みたいなの着てるってことは、職人さん?これはもしかして、いわゆる「ヤンパパ」ってやつじゃない?

 うわ、どうしよう。翼は彼の娘さんと仲が良いみたいだけど、こういう人種、苦手なんだよな。話しかけるのにも、ちょっと勇気がいるし。

 見た感じもだいぶ若そうだよね。話、合わせられるかな。何か怖いよぉ..........

 って、何言ってんのよ!しっかりしなさい、あなたは翼のママなのよ。わざわざ鉄棒の練習に付き合ってくれるくらいなんだから、優しい人に決まってるって。

 大丈夫よ。イカついのはきっと見た目だけ。早く話しかけないと、鉄棒の練習、終わっちゃうってば。
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