しょうがねーな、まったく。
「って、何か偉そうなこと言っちゃったけど、俺もまだまだできないこといっぱいあるし、何だかんだ周りに頼ってばっかだから。」

「社長さんとか?」

「そう。社長も奥さんもそうだし、先輩にも、先生にも。でも、それでいいんじゃん? 一人じゃどうにもできないことって、結構あるし。」

「うん、そうだね。」


それは今回のことでよくわかった。

無理だと思ったら、素直に助けを求めるべきなんだって。

強がって、翼に悲しい思いをさせるのは無意味だ。

今まで無駄に意地を張っていたことを反省したい。


「あとさ、こいつらって小さいなりに自分ちがひとり親だってちゃんと理解してるから、放っておくと我慢しちゃうんだよね。仕事が忙しいのはわかるけど、もうちょっと構ってやれば。」

「なんで? 翼、何か言ってた?」

「言ってないよ。何にも言わないから、心配してるだけ。」

「..........。」


それって、この前の鉄棒の話と関係があるのかな?

もしかして、話してくれないのは、私が忙しいのを理由にして翼の相手をしていないからだって言うの?

そういう風には見えなかったんだけどな。

改めて言われると、ショックが大きい。


「他に家族がいないから、あいつにとってはママがすべてな訳じゃん? 何か考えがあるのかもよ。」

「.....うん。」

「気になるなら、聞いてみればいいのに。」

「そうだよね。」
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