しょうがねーな、まったく。
「翼、また熱が上がらないように早く寝るんだぞ。」

「わかった。」

「今度はうちに遊びに来い。」

「うん!! 行く〜!!」

「あ、待って。今日は本当にありがとう。今度、ゆっくり御礼させて。」

「いいよ、そんなの気にしなくて。」

「でも.....。」

「じゃあ、何か作って、ご馳走してよ。いつになっても構わないから。」

「えっ!?」

「いい練習になるじゃん。」

「.....うん。」

「僕も手伝う。」

「そうだな。それがいいや。」

「わかった。頑張る。」

「よ〜し。楽しみに待ってるわ。」

「はい。任せて下さい。」


という信じ難い会話をしてから、あいつは帰って行った。

すっかり乗せられて約束しちゃったけど、私、大丈夫なのかな?


もちろん努力はするけど、今まで極力避けて来たことが、そう簡単に上達するはずがない。

いつになったら、ご馳走できるレベルに到達できるんだろう。

目標達成までの道のりは、だいぶ遠そうだ。


二人だけしかいない部屋の中に、まだ何となくあいつがいた余韻を感じる。

それが翼の興奮した様子からも伝わる。


よっぽど嬉しかったんだろう。

朝からあいつと何をして遊んでいたのか、夢中で話し続けている。

たまには、こういう機会があった方が楽しいかもね。

今度は希ちゃんも連れて来てもらおう。
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