しょうがねーな、まったく。
「ねぇ、ママ。」

「なぁに?」

「またのぞみちゃんのパパ来るよね?」

「うん。また来てってお願いすれば、来てくれるんじゃない?」

「のぞみちゃん、いいな。パパがいて。」

「え.....?」


今まで何となくゴマかして来たワードが急に出て来て、ドキっとする。

だけど、うちにはパパがいないことを、この子はちゃんと理解はできてるはずだから、焦って変なこと言わない方がいいよね。


「僕にもパパができるとしたら、のぞみちゃんのパパみたいなパパがいい。」

「へっ!?」

「カッコいいし、優しいし、何でもできるんだもん。」

「そう、だね.....。」

「いいなぁ。のぞみちゃん。」

「..........。」


絶句しちゃうようなこと言うから、動揺しちゃうじゃない。

「パパがほしい」とかなら、まだしものぞみちゃんのパパ限定なんですか。

あいつに懐いてるのはわかるけど、そんなことまで言い出すとは思わなかった。


「でも、僕はママがいる方がいい。」

「ママがいる方?」

「うん。だって、のぞみちゃんはママいないんでしょ。」

「あぁ、そうだね。」

「僕はママが大好きだから、ママがいる方がいい。」

「ありがとう。ママも翼が大好きだから、翼とずっと一緒にいたいな。」

「うん。」
< 54 / 102 >

この作品をシェア

pagetop