しょうがねーな、まったく。

こんな時、あいつがいてくれたら、この情けない話を聞いてくれるに違いない。

それだけでも気が休まるのに、こういう大事な時に限っていないなんて。

いつもみたいに鋭くツッコミを入れて、凹んだ気持ちに喝を入れてほしいんだけどな。


私だって、本当は早く会いたいよ。

だけど、そんなこと、言える訳がないじゃん。

一週間って、こんなに長かったっけ？

来週までどうやって待てばいいんだろう..........


そんな風に親子でちょっとおかしな空気になりながら迎えた金曜日、翼の機嫌を損ねないために最大限の努力をして、いつもより少し早めにお迎えに行った。

私だって寂しいのに、またゴネられたらたまらない。

希ちゃんは社長と先に帰っちゃうだろうから、少しでも早く行った方がいいと思って。


だけど、保育園に着き、自転車を停めていると、背中越しに希ちゃんらしき声が聞こえる。

ってことは、今日はセーフ？

希ちゃん、まだいるのかな。


キョロキョロしながら教室に向かって歩いて行くと、翼と希ちゃんが二人より少し大きい女の子の周りをグルグル走り回っているのが見える。

三人ではしゃいでる様子からして、どうやら顔見知りらしい。


ところで、このお姉ちゃんは誰なのかな？

あっ！！ もしかしてこの子が、例の親切な先輩のお子さんとか？

だったら、その先輩さんの奥さんに、この前のお礼を言わなくちゃ。