しょうがねーな、まったく。
「あっ、ママ~!!」

「お待たせ、翼。希ちゃん、こんにちは。」

「こんにちは。つばさくんのママ。」

「このお姉ちゃんは年長さん?」

「うん。みれいちゃんだよ。みれいちゃんのパパは先輩なの。」

「そうなんだ。」


やった、ビンゴだ。

これでこの前のお礼が言える。

早く来て良かった。

この子のママはどこかな?


「もしかして、翼くんのママかしら?」

「あ、はい。」

「まぁ、可愛らしいママだこと。思った通り。」

「え?」

「あら、ごめんなさい。一方的に喋っちゃって。」

「いえ.....。」


ママじゃないよね? お婆ちゃん?

今日のお迎えは品の良さそうなこのご婦人なのかな。

だけど、「思った通り」って、どういう意味?

私のことを知ってるの?


「うちの敦史くんがお世話になってます。」

「あつしくん..........? あっ!! もしかして!?」

「松澤です。初めまして。」

「は、はじめまして。」

「今日はね、美麗ちゃんの弟が、突然、具合悪くなっちゃって、ママが出られないから、パパたちが帰って来るまで、私がこの二人のお嬢さんの子守りなの。」

「そうなんですか?」

「そう。いつもこうやって賑やかにしてるのよ。」

「へぇ、すごいですね。」

「うちは孫がいないから、これが楽しみなの。この子たちって、見てるだけで元気になれそうでしょ。」

「はい。それは、よくわかります。」
< 66 / 102 >

この作品をシェア

pagetop