しょうがねーな、まったく。
この人が噂の「奥さん」なんだ。

こちらこそ話しかけられて嬉しくなっちゃう。

予想通り、ニコニコしていて優しそう。

良い意味で、お金持ちの奥様っていう感じが滲み出ている。


「この前、珍しく淳史くんが希ちゃんを預けて出かけたって聞いたから、どこに?と思ったら、希ちゃんのボーイフレンドのお家だって言うじゃない。」

「あぁ、そうなんです。あの日は翼が熱を出してしまって、困ってたんで。」

「淳史くん、優しいでしょ。本当に良い子なのよ。」

「そうですよね。」

「これからも仲良くしてあげてね。」

「はい。」


先輩から聞いたのかな?

もうそこまで知ってるとは驚いた。

だけど、柔らかな雰囲気で話しやすいし、奥さんこそ、どこから見ても良い人オーラ全開だ。

このタイミングで、知り合いになれて良かったかも。


「翼くんのお家もシングルなんでしょ?」

「あ、はい。」

「困った時は言ってね。このお婆ちゃんで良ければ、いつでもお手伝いするから。」

「そ、そんな!! それじゃ申し訳ないです。」

「いいの、いいの。孫がたくさんいるみたいで楽しいじゃない。」

「でも.....。」

「希ちゃんの大事なボーイフレンドなんだもん。遠慮しないで。そうだ。今度、みんなと一緒に遊びにいらっしゃい。」

「いいんですか?」

「もちろん。」
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