しょうがねーな、まったく。
「おいおい、『おはよう』じゃなくて、もう『こんにちは』だろ?」

「あ、そうだ。」


あはははは.....って、子供たちと笑い合ってる様子は、どこから見ても理想的なパパだ。

いいな、こういうの。

私も本当はこんな幸せが欲しかった。

大人になったら誰でも、こういう普通の幸せが手に入ると思ってたんだけどな..........


って、虚しい妄想してる場合じゃなくて、まずは挨拶。

せっかく誘ってもらったんだから、今日は楽しまないと。


「今日はありがとう。」

「おう。じゃ、行こうか。」


いつもの悪ガキみたいな笑顔を見ると、ホっとする。

これって、私の日常の中に、こいつがすっかり入り込んじゃってる証拠なのかな。


「とりあえず、後ろ乗って。」

「あ、はい。」

「ねぇ、パパぁ、のぞみが翼くんと一緒に後ろ乗るの〜!!」

「そう? じゃあ、翼、そうするか?」

「うん!!」


え? じゃあ、私が助手席?

だから何って言う訳じゃないけど、それはちょっとドキドキするかも..........


いや、違う!! 違うってば!!

わかってるでしょ。

私とこいつは、そういう風にならない、なり得ない関係なの。

この程度で意識するとか、おかしいから。

もういい大人なんだし、助手席に座るなんて何でもないことでしょ。
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