しょうがねーな、まったく。
実はまだ自分が未婚の母であることを、同級生のお母さんたちには告げたことがない。

シングルマザーなんだから、それなりに理由があることは嫌でも悟られるだろう。

だけど、その原因を気楽に話せるほど、誰とも親密になったことはない。


一人で育てるって決めたくらいだし、もちろん恥ずかしいことだとは思っていない。

そう思うのは翼に失礼だし、それどころかどこでも自慢できる可愛い息子だって信じてる。


でも、どうしても、言ってしまったら好奇の目で見られるような気がするし、受け入れてもらえない場面もあるのではないかと気が引けてしまう。

自分はどうあれ、翼がそうされたらたまらない。

だから、なかなか積極的にはなれない。


なのに、心を開いてもいい相手なのかどうか、私が判断をする間もなく、こいつは勝手に飛び込んで来た。

いつの間にかそばにいて、しばらく会えないと寂しくなっちゃうくらい、深くて近いところまで。


これから先、一緒にいたら、私の身の上話をする機会があるのかもしれない。

そうなったら、あいつはどんな反応をするんだろう。


怖いけど、ちょっぴり話してみたい気もする。

シングル同志、わかりあえる部分もあるし、あいつなら受け入れてくれる気がするから。

いつもの調子で「だから何だよ、関係ねーよ」って、笑い飛ばしてくれたらいいんだけどな。

そうしたら、楽になれるのに。

きっと、もっと強くなれるのに。
< 77 / 102 >

この作品をシェア

pagetop