しょうがねーな、まったく。

「確か、前の奥さんは一つ下だったって言ってたかな。」

「へっ！？ 奥さん！？」


この人、テレパシーでも使えるのかしら？

今、頭の中に浮かんだ言葉がそのまま出てくるから、むちゃくちゃ驚いちゃったじゃん。


「あ、その様子からして、前の奥さんのことはまだ何も聞いてないとか？」

「うん。出て行っちゃったってこと以外は何も知らない。」

「聞きたい？」

「え？ あぁ、うん。でも.....。」


なんでだろう。

あんなに知りたかったくせに、いざとなったら怖気付いてしまう。

だけど、こんなチャンスはもうないかもしれないし..........


「大丈夫だって。私もそんなに詳しくは知らないから、ザクッとだけ。」

「なら.....。」

「ほら、やっぱり聞きたいんじゃん。なんか青空ちゃん、カワイイ。恋する乙女みたい。」

「そ、そんなんじゃないって！！」

「もう、隠さなくていいから。」

「本当に違うって。」


いちいち否定するのも面倒になって来た。

あいつはどう思うかわからないけど、私的には全然イヤじゃないし、ここからはもう適当に流しておこうかな。


って言うか、むしろ嬉しいって思ってない？

いや、でも、そんな、それはいくら何でも図々しいって。


第一、今はそれより前の奥さんの話でしょ。

秘密の話でもないのに、ものすごくドキドキする。