しょうがねーな、まったく。
「ところで、青空ちゃんはどうしてシングルになっちゃったの?」

「あぁ、うん..........。」

「あ、ごめん。言いたくなかったらいいよ。」

「ううん。あのね、私、未婚の母なの。」

「えっ、マジ!? 意外!? そうなんだ。やるじゃん。」


あれ? 思ってたのと全然違う反応だ。

もっと冷ややかな目で見られると思ったのに、京子さんの態度はまったく変わらない。

それどころか、その笑顔はさっきよりもさらに親近感を持ってくれた、みたいな?

勢いに任せて言っちゃったけど、大丈夫だったのかな。


「実はね、人に言うの初めてなの。やっぱり言い辛くて。」

「嘘? じゃ、敦史くんも知らないの?」

「うん。」

「ふ〜ん、そうなんだ。でも、隠さなくてもいいんじゃん。敦史くん、そんなの気にしないだろうし。」

「そう思う?」

「うん。てかさ、言いたい奴には言わせとけば良いんだよ。人にはそれぞれ事情があるんだし、今、ちゃんと青空ちゃんは翼を育ててるんだから、何も引け目感じる必要ないって。」

「そうかな。」

「相手とはもう会ってないの?」

「うん。」

「じゃあ、立派じゃん。最初から一人で育てる覚悟なんて、そう簡単にはできないもん。青空ちゃん、頑張ってるって。翼、見てれば、わかるから。」

「ありがとう。そう言ってくれると嬉しい。」
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