冷たいキスしか知らない俺に、本当のキスを教えて




「俺が、真友の心をわからないって?……そっか……そういうことか……。」



ナギは「ありがとう」と言って、私に背を向けた。


「俺は、もう行かなきゃ。真友は真友の世界の男に……幸せにしてもらうんだ……。」


携帯のずっと奥の方に向かって、ナギはゆっくり歩き出す。



「待って!ナギを呼ぶ方法を教えて!また会いたいの。ねえ、ナギ!!」


私がそう言っても、ナギは振り向いてくれなかった。


それでも私は、叫ぶことしかできない。

手を掴んで引き留めることもできない。

追いかけて、その背中に抱きつくこともできない。


こっちにいる私は、何にも出来ない。




「ナギーーーーーーー!!」



次第に画面は暗くなり、いつもの待ち受けに戻った。



「やだよ……ナギ……なんでよ……」



行ってしまった。

泣いても叫んでも、ナギが私の携帯に現れることはなかった。





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