冷たいキスしか知らない俺に、本当のキスを教えて




「真友、電源の入っていない携帯見つめて何してんの?」

「ん?何でもないよ、さ、帰ろうか」



何も変わらない日常で、ただ一つ変わったこと。
それは、携帯の画面を見ること。


なんの用もないのに、何度も真っ黒な画面を見てしまう。

ナギの面影を探してしまう。


会いたかった。
ナギにもう一度。


なんで、あの時ちゃんと言えなかったのだろう。
ずっとそばにいてほしいと。


私は、ずっと後悔している。

どうにもならない想いを抱えたまま、なすすべもなく時間ばかりが過ぎていった。


……ねえ、ナギ、私は明日、ナギとおんなじ歳になるよ。





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