冷たいキスしか知らない俺に、本当のキスを教えて



早朝の公園は朝もやに包まれ、ひんやりとした空気が漂う。

今日は、いつもより早く家を出た。

ナギと会った公園で、ナギに17歳になったことを伝えたかったから。


木々の間をゆっくりと歩いていく。

誰もいない。ただ、鳥の声と、風が木の葉を揺らす音だけ聞こえる。


ナギのいる世界には、こんな景色はあるのだろうか……。
ふと、そんなことを考える。


私は歩みを止め、想いを打ち消すように大きく深呼吸した。

息を吐いて周りを見渡す。


ナギは今頃、ぐっすり寝ているに違いない。


画面にそっとおやすみのキスをした。
あの時と同じ、冷たいキス。


ナギ……今、君は何をしているの?

私は、17歳になったよ。





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