冷たいキスしか知らない俺に、本当のキスを教えて
「あ、ナギっ!」
ナギは、あっけなく帰っていった。
さよならぐらい言わせてくれたっていいのに……せっかちなんだね。
携帯の画面は、いつもの待ち受けに戻る。
トントンって叩いてみても、画面はそのまま。
動かない。
しゃべらない。
あの優しい笑顔を、もう見ることはできない。
ああ……なんだろう……先輩にふられたことよりも、ナギがいなくなってしまったことの方が……悲しい……。