囚われ姫と金と銀の王子
「・・・離してください」

ソフィアは小さな声で言う。

しかし私は離す気などさらさらなかった。


「君がこのまま私と話をするというなら、離れてやってもいい」


そう条件を出し、柔らかそうな髪へと顔を埋めた。

皮膚に触れるソフィアの柔らかい髪の感触と、そして間近で強く香る匂いが、私の身体をどんどんと熱くさせる。

このままソフィアの全てを知る事が出来たなら、どんなに幸せだろうか。



・・・欲しい。

彼女が欲しい。


何故かそう思った。


「わ、分かったわよ。話をするから、だから離れてちょうだい!!」


ソフィアは観念したのか私の条件をのんだ。

離れがたい気持ちを抑えソフィアの身体を解放すると、部屋の扉を閉める。


ソフィアは少し顔を赤くして私を睨む。

そんな顔もまた可愛い、と心が高鳴る。



「ソフィアは机の椅子に座るといい。大丈夫だ、前のように突然押し倒したりするような真似はしない。約束する」


私は鏡台の前の椅子に腰掛け、ソフィアに座るよう促す。

ソフィアは怪訝な表情を浮かべながらも、渋々座ってくれた。

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