囚われ姫と金と銀の王子
「さすが、レイモア国の王女だっただけあるね。度胸が違う」

「・・・は?どういう事です?」

「レイモア国の内情は昔から知っていたからね。君が国王の愛人達のいざこざに巻き込まれていたって話は聞いていたよ。まだ幼かったソフィアに、平気で嫌がらせをする性格の悪い愛人達に対して、怯む事無く向かっていったそうだね」


その話は隣国のゴシップとして、夜会の席でよく話題になっていた。


国王の愛人達の異常な嫉妬により、王女であるソフィアにまで危害が及んでいた事。

だがしかしソフィアもそれに怯む事無く、華麗に反撃をしていた事。


大体の内容は知っていた。だが敢えてソフィアに問う。


「どうして、そんなに嫌がらせをされていた?」


その問いにソフィアは眉を顰め、厳しい表情を浮かべて答えた。

ソフィアの言葉に胸が締め付けられそうになった。


幾分こちらは人伝いに聞いただけの話で笑い話として終わってしまうが、当の本人は毎日が修羅場だっただろう。

本来は国の王女たる者、家族以外の人間からは指図も命令もされる事がない立場であるのに、国王の寵愛を受けていたからといって図に乗り、王女にまで危害を加えるとは言語道断。


普通ならその場で処刑されたっておかしくはない。


それを野放しにし、やりたい放題やらせていたあの国王は、どこまで暴君であったのか、それがその話だけでもよく分かる。


それを耐え、ソフィアは毎日を生きてきた。

どれだけソフィアの心は強いんだろうか。

< 108 / 228 >

この作品をシェア

pagetop