囚われ姫と金と銀の王子

ソフィアは私の問いに答えた後、少しを間を置き私にこう言った。

「今の私の気持ち、わかります?」


その声は少し震えていた。

今まで私を見据えていた瞳が、ゆらゆらと揺らめく。

「・・・気持ち?」

「前と一緒なんですよ、常に心休まる事がない状態。自分の国にいた時と一緒なんです。こんな事なら牢にいた方がまだ良かったと思うくらい、自分の気持ちが落ち着かないんですよ」


その言葉を聞いた瞬間、私はハッと気付く。

心臓がドクン、と大きく鳴った。


・・・違う。


本当は傷付いているんだ。

それを自分の中で気付かれないように隠しているだけ。


そんな事があるたびに傷付き苦しんで、誰もいない所で一人、泣いていた。



・・・ああ、そうだ。

私が今までやっていた事は、あの暴君の愛人のやっていた行為と何も変わらないじゃないか。


私もソフィアを傷付かせ、泣かせていた。

強い人間だと思って、何をやってもそんな素振りも見せないから。


なんて馬鹿な男なのだろう、私は。

これではいつまでたっても、好きになって貰える訳がない。



心からソフィアの幸せを願わなければ、その機会は訪れる事はない。


< 109 / 228 >

この作品をシェア

pagetop