囚われ姫と金と銀の王子
・・・いや、ハッキリと言われてもそれはそれで困る。
出来れば嫌われたままでいたかった。
そのまま嫌われ続け、修道院で新しい生活が良かった。
「まさかこんな気の強い性格の女が好きだなんて知らなかったのよ。知っていたら女らしくしたのに」
「うーん、ソフィア様にそれは無理でしょう。女らしくしてもいずれボロが出ますよ」
「きっぱりと言うわね、ナディ。反論出来ないのが悔しいわ」
「これが原因でナザリア様に嫌われましたからね。私も最初は従順にやろうと心掛けましたけど、無理でした」
だから今ソフィア様の侍女はとてもやりやすくて楽しいのです、と付け加えてナディは笑う。
まあ、ね。
私もナディが侍女で結局気を遣わずに生活できているから文句はないけど。
本当にしっかりと自分の本音を言う人だ、ナディは。
プライドの高い人に付いたら、我慢できないだろうな。
「しかし、これから殿下はどうするんでしょうね?私を正妃にするって事は、他の妻達はどこかへ下賜されるって事でしょう?」
「そういう事になりますね。仮の妻は何人いても構いませんが、正式な妻は一人と決められていますし」
「私と違ってみんな殿下の事をお慕いしていたようだし、『下賜ですか?はい承知しました』なんてスムーズに事が進むとは思えないのだけど」