囚われ姫と金と銀の王子
私はナディの肩を抱えながら、自分の部屋へ戻る。

ナディは依然、苦悶の表情を浮かべていた。


ナザリアが知っているという事は、他の妻も知っているという事で。

という事は、このような事がこれからも起こりかねない・・・そういう事だ。


自分だけなら何とか身を守る事は出来る。

でも、ナディにこれ以上危害が加えられたら・・・!



あの殿下の浅はかさに心底苛立ちを覚えた。

全てはアイツのせいなのに・・・!!

アイツの浅はかな考えが、こんな状況を生み出しているというのに!


怒りのあまりに、胃がきりきりと痛みだす。


その痛みはそれから止む事はなく、この後殿下が私の部屋に訪れて、ますますその痛みは強くなった。
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