囚われ姫と金と銀の王子
「ひとつ聞きたいのだけど、殿下は他の妻達になんて言ったの?殿下の事だからちゃんと説明していないんでしょう?」


私は呆れた表情で殿下に聞く。

殿下はそんな私の態度に、少しムッとしながら答えた。


「何を説明するんだ?彼女達には直々に『私がソフィアを正妃にしたいからお前達は下賜される事になった』、と言ったが。他に何を話す事がある?これ以上の説明は彼女達には必要ないだろう?」


殿下は自信満々にそう話す。

全く気付いていない事に対して、私の身体から力が抜け大きくため息を吐いた。


「・・・本当最低ね、アンタ。女の事何にもわかってないじゃない」


「は?何がだ?」


「決定事項だけ言われて納得する訳がないでしょう?しかも他の妻達は私と違って!アンタの事好きなのに、『好きな人から他に好きな人が出来たからこの関係終わりね、バイバイ』って言われてムカつかない訳ないじゃないの。文句言いたくてもアンタはこの国の王子で文句も言えないし。となれば私にその矛先が向くってどうして分からないかなぁ?」


「相手が好きだろうが、私がソフィアじゃなきゃ嫌なのだから仕方ない。王子の命令は絶対だ。納得して貰わなければ困る」


どうにも理解してもらえず困り果てた。


生まれながら自分の思う通りに生活出来るから、人の気持ちが分からないのね。

どうやったら分かって貰えるかしら・・・。

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