囚われ姫と金と銀の王子
「・・・じゃあ私も正妃になるのは絶対に無理だわ。そんな人を支えられる訳がない」

「な・・・!どうして!それは許されない!私がソフィア以外の女を正妃にするつもりは・・・!」

「正妃になるくらいなら死ぬわよ。理由はひとつ。私はあなたの事を好きじゃないし、これからも好きにはなれないから」


そう言われた殿下は、絶望的な表情を浮かべる。

そのまま何も話す事無く、その場で茫然と立ち尽くしていた。


「・・・そういう事よ、殿下。他の妻達は今あなたが感じている絶望と同じものを、あなたから受けているのよ。気持ちが少しは分かったかしら」

「・・・あ」


殿下はハッとした顔で私を見つめた。

私はさらに畳みかけるように話を続ける。


「殿下の事だから口ごたえは許さない、と言わんばかりの冷たい態度で妻達に言い放ったのでしょう?それはあっちだって怒るわよ。でもその怒りを殿下に向けられない、そうなれば必然的に私にそれが向く。私だけならまだしも、周りの人に危害が加わるのはよろしくないわよね」


「そ、そう、だな・・・。言われてみれば・・・。申し訳ない」


そう言うと殿下は困った表情を浮かべ頭を掻いた。


どうやら反省する事は出来るらしい。

その事に私は少し安心した。

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