囚われ姫と金と銀の王子
「庭だけじゃない、城の中も相当荒れていたよ。この国の領地になって早々に城に行ってみたが、絵画や置物は埃を被り、そこら中にゴミが散らかって、王族が住むような場所ではないくらいの状態だった。君はそんな所でずっと生活していたんだな」
「最初は私も掃除をしていたんだけれど、愛人達に見つかると難癖付けられたりするから、面倒臭くなって部屋にいるか、図書室で篭るか、それしか出来なくなってしまったの。侍女達もお給金が支払われないから、優秀な人間からどんどんと辞めていって、城を維持する事が難しくなっていったのよね」
「けれど、その愛人達が住む部屋と国王の部屋だけは、やたらと豪華で綺麗だったな。本当にあの国王は、自分の事しか考えていなかったというのがよく分かる」
「そうね。悲しいけれど私は特に大事にはされていなかったから。父が大事にしていたのは、自分の地位と自分を好いてくれる人間だけ。小さい頃から生意気な事ばかり言う私は、父にとって必要のない人間だったんでしょう」
本当は、父に愛されたかった。
父の笑顔を、私にも向けて欲しかった。
だけど、いつも父は知らない女にばかり笑顔を振りまいて。
それがどうしても嫌で、苦しくて。
結局伝わる事がないまま、父は亡くなり国も無くなってしまった。
「最初は私も掃除をしていたんだけれど、愛人達に見つかると難癖付けられたりするから、面倒臭くなって部屋にいるか、図書室で篭るか、それしか出来なくなってしまったの。侍女達もお給金が支払われないから、優秀な人間からどんどんと辞めていって、城を維持する事が難しくなっていったのよね」
「けれど、その愛人達が住む部屋と国王の部屋だけは、やたらと豪華で綺麗だったな。本当にあの国王は、自分の事しか考えていなかったというのがよく分かる」
「そうね。悲しいけれど私は特に大事にはされていなかったから。父が大事にしていたのは、自分の地位と自分を好いてくれる人間だけ。小さい頃から生意気な事ばかり言う私は、父にとって必要のない人間だったんでしょう」
本当は、父に愛されたかった。
父の笑顔を、私にも向けて欲しかった。
だけど、いつも父は知らない女にばかり笑顔を振りまいて。
それがどうしても嫌で、苦しくて。
結局伝わる事がないまま、父は亡くなり国も無くなってしまった。