囚われ姫と金と銀の王子
「・・・殿下、お願いがあります」

「なんだ?」

「私のいたあの国は、本当はいい所なんです。人も温かくて気候もよくて、住みやすい所だった。だから、またそんな場所に戻れるように、殿下の力であの場所を、元通りに直して貰えますか?」


私は横に立つ殿下を見据えて、そう話した。


父が国王になってから、どんどんと住んでいた国民が逃げていって、あれだけ賑やかだった城下街も寂れて活気のない街になってしまった。

本来ならば、王女である私が立て直さなければいけないのに、私ひとりの力ではどうにも出来ない。

だから、力のあるこの国を背負うアレックス王子に、前のような街に戻す事が出来るのなら・・・。


「もちろんだ、ソフィア。もう私の国だからね。前よりももっと活気のある、賑やかで住みやすい街にしてみせよう。早速だが、私の従兄のグランが領地の管理をする事になった。彼は優秀だ。きっと逃げていった国民達も戻ってくるんじゃないかな」


殿下の素早い行動に、身体から力が抜けそうになるほど安心して、自然と笑顔が零れる。

ずっと気に掛けていた事だったから、殿下がそう言ってくれた事が凄く嬉しくて。


そんな私を見つめたまま、何故か殿下は顔を赤くしていた。



「どう、したのです?」

「お前・・・初めて私に笑顔を見せてくれたな」


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