囚われ姫と金と銀の王子
その時に私は自分が笑顔だという事に気付く。

慌てて両頬を手で押さえるが、けれどどうしてそんなに殿下は顔を赤らめて・・・?


「・・・可愛い」


「え?」



「ソフィアは笑顔がとてもよく似合うな。・・・とても美しいぞ」


その言葉は、私の体温を一気に上げた。

ぶわっと汗が噴き出すくらい熱くなる。



急に恥ずかしくなってつい顔を逸らしてしまった。


「どうした?ソフィア」

「あ、いや・・・ちょっと」


その言葉に動揺しただなんて言えない。

そういうのに耐性がないから、ドキドキが半端ない。


そこから二人無言になって、風が木々の葉を揺らす音が、微かに聞こえるだけになった。

穏やかなその風は、私の火照った身体をゆっくりと冷ましていく。


「少し、歩こうか」

「・・・ええ、そうね」

殿下は手を差し出し、私もそれに応えた。

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