囚われ姫と金と銀の王子
―――数分後。
ナディが部屋へと戻ってくる。
そして何故か、ナディの後ろには殿下の姿があった。
「どうしたソフィア!話があるというから仕事を投げてやってきたぞ!君から会いに来るなんてお願い、そんな嬉しい事は初めてだからな!」
なんて、満面の笑みでそう言うもんだから、私は呆れて物も言えない。
「・・・すみませんソフィア様。どうしても部屋に行くと聞かなくて」
ナディは申し訳なさそうに私に話す。
・・・どうしてこんなに能天気なのかしら。
アンタのお陰で、こっちは迷惑被っているのに。
彼女達だっていらない禍々しい感情を、心の内に抱いているというのに。
「こちらに来てしまったのなら仕方ないわ、ナディ。殿下、ではこちらにお座りになって」
私は机の椅子に腰を掛けるように促す。
殿下はニコニコと未だ笑みを浮かべたままで、その椅子に座った。