囚われ姫と金と銀の王子
「・・・殿下は・・・」
と、そう言った所で私は言うのを止めた。
今はこれ以上殿下を苦しめる事はいけないと、そう思ってしまったから。
「・・・どうした?ソフィア」
「いいえ、何でもありません」
「・・・そうか」
殿下は大きく息を吐くと椅子から立ち上がる。
そして、部屋を出ようと扉へと向かった。
「もう一度彼女達と話をしてくる。罵倒を浴びせられようが何をされようが、それが今の私に課せられた罰なのだから、それは真摯に受け止めようと思う。・・・だから」
「・・・殿下?」
「これ以上、私を嫌いにはならないでくれ。今は好きになってくれとは言わない。けれど、これ以上嫌いにはならないで欲しい」
顔こそ見えなかったが、その後ろ姿は悲痛な想いを表していた。
その言葉が胸に突き刺さる。
殿下は振り返らないまま、部屋を去った。
私は殿下がいなくなった後も、そこを見つめたままで動く事が出来ないでいた。