囚われ姫と金と銀の王子
「ソフィア様・・・、大丈夫ですか?」
悲痛な表情を浮かべて立つ私を心配してか、ナディが声を掛ける。
「え?・・・あ、ええ。・・・大丈夫よ」
「エリス様ってあんなに意地の悪いお方だったのですね。あんな事わざわざ言う必要もないのに・・・。やっぱり正妃になれない事が悔しいのでしょうか」
「・・・仕方ないわ。それだけ好きだったって事よ。そのくらい言わないと気が収まらなかったんでしょう」
「ではソフィア様、急ぎましょう。殿下の部屋はあちらに」
「あ・・・。ナディごめんなさい、少し気が変わったの。一旦部屋に戻ります。まずは部屋にある箱の動物を土に埋めて弔う事にしましょう。よく考えたらあのままあそこに置いておくのは可哀想だわ。少しでも早く安らかに眠れるようにしてあげなくては」
「ソフィア様?」
私はナディがそう聞き返すのを振り切るように、踵を返した。
こんな気持ちで殿下になんて会える訳がない。
今殿下に会ってしまったら、思ってもみない事を口走ってしまいそうで。
どうしてこんな気持ちになるのか、自分でも分からなかった。