囚われ姫と金と銀の王子
部屋に戻り、その箱を抱えてナディと共に城の外へと出る。
城の裏庭にある大きな木の下を掘って、その動物を埋めた。
私は埋めた場所に右手を充て、左手は自分の胸に充てて、そして目を閉じる。
私への嫌がらせの為に命を落とす事になってしまった、可哀想な子。
どうかあの世では幸せに暮らして欲しい。
そう心の中で願った。
祈り終わって城の中へと戻っても、殿下の元へはどうしても行く事が出来ず、私は自室へと戻った。
この贈り物の件は、言わなきゃいけない事だとは分かっている。
どんな命でもそれを無残にも奪う行為を見せつけるのは、明らかに危険なものだから。
その危険が迫っているのは確実。
その危険を未然に回避する為にも、殿下には言わなければいけない。
だけど、どうしても殿下の顔を見る事が出来そうになかった。
普通に殿下とは話せる状態ではなかった。
言いたい、けれど言えない。
その想いが交差する。