囚われ姫と金と銀の王子
「ソフィア様、本当に大丈夫ですか?お顔が優れないように見受けられますけど・・・」

「・・・大丈夫よ、ナディ。心配してくれてありがとう」


思い詰める私を、ナディは心配して声を掛けてくれる。

けれど私は大丈夫だと言うだけが精いっぱいで、後は部屋の椅子に腰掛けながら、ひたすらこの複雑な想いに頭を悩ませた。


この想いは、父が母を裏切って愛人と親しくしていた光景を初めて見た時の、あの感じにどことなく似ていた。



父は母を愛してはいなかったのか。

どうして母という存在がいながら、他の女性に行ってしまうのか。


その光景を見た時、そう思って胸が苦しくなった。


・・・そう、裏切られたという、悲しい想いだ。


殿下は、話をして説得すると言っていたのに。

抱いてくれと言われたから、納得させる為にその通り別な女性を抱く。


まだ夫婦であるから、その行為は私には責める筋合いなんてない。

殿下の行動にどうこう言える立場でもない。




・・・だけど。

< 158 / 228 >

この作品をシェア

pagetop