囚われ姫と金と銀の王子

何が私は物で釣られない女、なのよ。

結局殿下の贈り物が嬉しかったんじゃない。


「ああもう、バカな私・・・」


この気持ちに気付いた所で、もうどうする事も出来ない。

このまま殿下と一緒になっても、私は殿下と父を重ねて見てしまうだろうから。


この想いはいずれ消えて、きっと思い出す事もなくなるだろう。

それまで、ただ静かに生きていけばいいだけ。



ただそれだけ、なのに。



「苦しい・・・。どうしてこんなに苦しいの・・・」


生きていくのが辛いのは、こういう事なのだ、と思った。

頭ではわかっていても、その想いには贖えなくて。



初めて知るその想いとどうにもならない苦しみに、その日の夜は眠る事が出来なかった。


ただ真っ暗な部屋の中で、声を押し殺して泣いていた。



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