囚われ姫と金と銀の王子

私の中に生まれたのは、ただの憎悪。

裏切られたという、怒りと苦しみ。



殿下は私の事が好きではなかったの?

私を死ぬまで愛してくれるわけではなかったの?



殿下には、最後の思い出にと私を抱くようにお願いしたけれど、それも叶わなかった。

愛する人が出来た今、もう私を抱く事は出来ない、と。




人の気持ちは変わる。

そんな事はよく分かっている。



――でも、そんなに変わるもの?



今まで私の事を愛してくれたじゃない。

優しく抱いてくれたじゃない。



どうしても納得がいかなかった。

その想いをどこにもぶつけられなくて、日に日にドス黒い感情は大きく膨れ上がっていく。


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