囚われ姫と金と銀の王子

夜会が行われるその日、一番綺麗で華やかなドレスに身を纏う。

そして胸元に、誰にも分からないようにそっとナイフを仕込んだ。



私には招待状が来なかった。


私は招かざる客という事。


けれど、私はあの場へと行く。



目一杯のお洒落をして。




「・・・エリス様、どうしても行かれるのですか?」

「だって二人が一緒にいる姿を見られるのですよ?お祝いの言葉を伝えなければ」



・・・そうよ。

二人が一緒にいる最後の時間ですもの。


二人が同じ時を歩むなんて、そんなの許さない。

二人だけが幸せになるなんて、絶対に許さない。



私を選ばない殿下なんかこの世にいらない。


私を王妃にしないこんな国なんて無くなってしまえばいい。


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