囚われ姫と金と銀の王子

「エリス・・・」

鉄格子の向こうで虚ろな瞳でぼおっと座るエリスに、そう声を掛けた。

私の声に少し身体を跳ねらしたが、大きな反応はない。


「鍵を貸せ」

「殿下!それだけは・・・!!」


抵抗する門番から鍵を奪い取ると、牢の鍵を開ける。

中へと入りエリスの目の前に立つと、目線に合わせてしゃがんだ。


エリスは私が中に入ってくるとは思ってもいなかったのだろう。

覇気のないその瞳が、大きく見開かれた。


「エリス、お前のやったことは許される事ではない。しかし、エリスをそうさせてしまったのは全て私の責任だ」

「・・・・」

「本当にすまなかった、エリス。君は私をそれだけ愛してくれていたって事だよな?それなのに私は君の気持ちを無視して自分の想いだけをぶつけ、納得させようとしてしまった。もっと話を聞くべきだったと思っている。・・・本当に悪かった」


湿った地面に両膝を付けた。

じわりと服が濡れ、その範囲を広げていく。


エリスは眉間に皺を寄せ、私を睨んだ。

手錠で繋がれた手が小刻みに震えている。


牢の鍵と一緒になっていた鍵で、エリスの手錠を外す。

冷たく汚れたその手を掴むと、私の首元へ充てた。


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