囚われ姫と金と銀の王子
「・・・憎いか、私が。私は今までエリスの気持ちを弄んできた。私への憎しみは計り知れないものがあるだろう。私を殺したくば今すぐこの首を絞めて殺してくれ。それでエリスの気持ちが晴れるのなら私も本望だ。私は、私に関わった女性をみな不幸にしてしまった、罪深き人間だ」

「っ・・・」

「そんな人間がこの国の次期国王になる資格などない。誰ひとり幸せに出来ない人間が、この国を幸せになど出来るものか。エリスに罪はない。悪いのは全て私だ。・・・だから、その罪を今ここで償おうと思う」


「殿下!!なりません!お止めください!今すぐその女から離れるのです!!!」


見るに耐えかねた門番が、そう声を荒げて牢の中へと入ろうとする。

だが私は叫んだ。


「来るな!来たらお前の首を跳ねる事になるぞ!!」



その言葉に門番は身体を跳ねらせ、中に入るのをためらった。


エリスは未だ憎しみの篭った瞳で私を睨んでいる。

その瞳を逸らす事無く、私はエリスを見つめた。



「・・・エリスの好きなようにやってくれ。お前の手で、私を殺してくれ」


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