囚われ姫と金と銀の王子

エリスの手に力が篭った。


首が圧迫されて、頭に血が行かなくなる。

呼吸も思うように出来ず、目の前がだんだんと白く霞んでいく。



こんなにも死ぬ事は辛い事だったか。


しかし、エリス達はもっと辛い思いをしている。


私を殺す事で、その気持ちが晴れるのなら私はいくらでも命を捧げよう。

それでみなが救われるのなら・・・。




意識が薄れかけた瞬間、首元に掛けられた手の力が緩み、離れた。

途端に血が頭に勢いよく上がり、人間の本能か酸素を身体に取り込もうとして、呼吸が荒くなる。



エリスは涙を流していた。

その顔はもう憎しみを含んだ表情ではなく、哀切の表情だった。

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