囚われ姫と金と銀の王子
「殺す事なんて、出来ません・・・。いなくなって欲しかった、死んでくれたらどんなに嬉しいか、そう思っていたけど、・・・でも、やっぱり無理です。好きだった殿下を私自ら手を掛けるなんて事、私には出来ません!!」
「エ、リス・・・」
「好き、でした・・・。夜会で最初にお目にかかってからずっと・・・。殿下の笑顔に、掛けて下さるその言葉に、ずっと私の心は高鳴り続け、殿下のお傍にいたいと思っていたのです。殿下から愛の言葉を掛けてくれるのを、ずっと待っていたのです」
その言葉は悲鳴に近いものだった。
エリスの悲痛な言葉に胸が締め付けられる。
「でも、殿下はその言葉を私に掛けては下さらなかった。待っていたのに、その言葉は一度も聞かれなかった。それが悔しくて、切なくて・・・。殿下はほんの少しでも、私を愛してはいなかったのですか?」
エリスは涙を拭うことなく、濡れはらした顔で私を見つめた。
―――人の気持ちというのはなんと残酷なものか。
エリスの事を愛せたなら、良かったのに。
そうすればお互いこんな辛い想いをせずに済んだのに。
こんなエリスの表情を見てもなお、私の心はソフィアにある。
ソフィアを好きだという気持ちが変わる事はなかった。
それでも、目の前のエリスはその言葉を待って私を見つめている。
嘘は言いたくない。
嘘で固めたその言葉をエリスに話したくはない。
そう思っているのに。
「エ、リス・・・」
「好き、でした・・・。夜会で最初にお目にかかってからずっと・・・。殿下の笑顔に、掛けて下さるその言葉に、ずっと私の心は高鳴り続け、殿下のお傍にいたいと思っていたのです。殿下から愛の言葉を掛けてくれるのを、ずっと待っていたのです」
その言葉は悲鳴に近いものだった。
エリスの悲痛な言葉に胸が締め付けられる。
「でも、殿下はその言葉を私に掛けては下さらなかった。待っていたのに、その言葉は一度も聞かれなかった。それが悔しくて、切なくて・・・。殿下はほんの少しでも、私を愛してはいなかったのですか?」
エリスは涙を拭うことなく、濡れはらした顔で私を見つめた。
―――人の気持ちというのはなんと残酷なものか。
エリスの事を愛せたなら、良かったのに。
そうすればお互いこんな辛い想いをせずに済んだのに。
こんなエリスの表情を見てもなお、私の心はソフィアにある。
ソフィアを好きだという気持ちが変わる事はなかった。
それでも、目の前のエリスはその言葉を待って私を見つめている。
嘘は言いたくない。
嘘で固めたその言葉をエリスに話したくはない。
そう思っているのに。