囚われ姫と金と銀の王子
「あい、・・・していた。エリス。君の事を好きだったよ」


私の口からは、自然とその言葉が出てしまう。

どうしてなのかはその時は分からなかった。

さらにエリスを傷付けてしまうのではないかと胸が痛む。


しかしエリスはその言葉に顔をぐしゃぐしゃに歪ませて、そして微笑む。

とても嬉しそうで、そして幸せそうな笑みだった。



その時に、私は理解した。




・・・私は少なからずエリスの事を好きだったのだと。


エリスのその笑みが、私の心の安らぎとなっていたのだという事を。



燃え盛るような恋ではない。



それは、穏やかな恋。



それに気付いた時、私の心は張り裂けそうに苦しくて、涙が溢れる。

止めようと思っても止められずに、ぽたぽたと地面へ吸い込まれていった。


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