囚われ姫と金と銀の王子
「殿下、どうして泣いているのですか・・・?」
「・・・ゴメン。ごめん、エリス。自分の気持ちに気付くのが遅かったばかりに・・・」
エリスは私の頬を手で覆って、首を横に振る。
その手は仄かに温かく、いつも私に触れていた時のあの温かさに戻っていた。
「もう、いいのです殿下。その言葉を聞けただけで十分です。少なくとも私の事を愛してくれた、それだけで私の心は満たされました。これで思い残す事は何もありません、後は私が仕出かした罪を償うだけ」
「エリス・・・」
「どうか幸せになって、殿下。そしてソフィア王女にお伝えください、傷付けてしまって申し訳なかったと。謝って許されるものではないとは分かっています。でも、そう伝えて欲しいのです。・・・そして」
「・・・そして?」
「ソフィア王女をどうか、幸せにしてあげて下さい。あのお方から自然と笑みが零れるように殿下のお力で、どうか」
その言葉が嘘ではないのは、エリスの表情を見ただけで分かった。
だからこそ、罪悪感に苛まれますます苦しくなって涙が止まらない。
人知れず、声を上げて泣いてしまった。
そんな私をエリスは優しく背中を撫でて、落ち着かせようとしてくれた。