囚われ姫と金と銀の王子

それから私は、父のいる国王の間へと足を向ける。



父にはこれまでのいきさつを全て話し、そしてエリスとエリスの両親に対する罰の執行をしないように懇願した。

最初父は私の懇願に対し、納得できないような表情を浮かべていたが、最終的にその願いを受け入れてくれた。


私は地下牢にいるエリスを今までいた部屋へと戻すよう、命を下す。

そしてそれからナザリアとマリリンの元へ向かい、二人にも改めて深く謝罪をした。



彼女達はうすうす分かっていたようだった。

自分達は私と結婚出来るとは思ってはいなかったと。



ただ自分達が道具として私と結婚をさせられ、そして好きでもない男の元へ下賜される。

その事が苦しくてどうしても許せなかったのだ、とそう言っていた。


貴族の令嬢として生まれたからには、政略結婚は避けられないもの。

けれど人を好きになって愛する事は、誰にでも平等に与えられたものだ。



私は彼女達に少しでもその気持ちを持てるように、下賜する前に候補になっている者達と話が出来るように会を設ける事にした。


お互いが愛せるように、支え合っていけるように。



それで私の罪が消える訳ではないけれど、それでも何かをしてあげたかった。

みな、私を少なからず愛してくれたのだから。


< 198 / 228 >

この作品をシェア

pagetop